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木管奏者必見!「タンポ」徹底解明!

2020.05.21フルートクラリネットオーボエファゴットサックスリペア

ブログをご覧のみなさま、こんにちは!

セントラル楽器の岸本です。

 

今回は木管楽器の「タンポ」についてご紹介します。

「タンポ」とは、木管楽器のキイに付いているこのパーツです。

何のための部品でしょうか?

 

木管楽器は、管体に空いている穴(トーンホール・音孔)を開閉することで色々な音を出しています。

リコーダーのように、本来は自分の指で穴を塞ぐのがベストですが、楽器の改良の過程でトーンホールは大きくなり、数も増えていき、人間の指ですべてを補うことが難しくなりました。

そこで、指の代わりに「タンポ」を使って塞ぐようになったのです。

 

タンポの構造


これはタンポの断面図です。

一般的には、丸く抜かれた台紙とフェルトが皮で包まれ、皮は台紙に糊付けしてあります。
タンポの皮には様々な素材が使われており、それぞれの楽器に適したものが搭載されています。

 

主にピッコロ・フルート・オーボエ・クラリネット等に使われるタンポには、
「フィッシュスキン」という薄い皮が巻いてあります。
本来は魚の浮袋を使っていたため、直訳すると「魚の皮」ですが
現在は豚や羊の「腸の皮」が使われています。(ソーセージの皮と一緒!)

 

サックス・バスクラリネット・ファゴット等はフィッシュスキンではなく
羊・牛・豚・カンガルーなど動物の革(レザー)が使われています。

フィッシュスキンに比べて、耐久性や音の立ち上がりが良いのが特徴です◎

クラリネットやオーボエでも一部の機種で搭載されています。

 

また、クラリネット・オーボエの一部には天然のコルクを使用したものも使われます。
金管楽器のウォーターキイに付いているような、丸く抜かれたコルクです。
その中でも質のいいものがコルクタンポとして使われます。

 

「不良タンポ」とは?


  これは古くなって交換したタンポです。

タンポの表面は管に直接触れる部分なので、吹奏感や音色に大きな影響を及ぼします。
皮が破れてしまったもの(フェルトが見えているもの)や、劣化して弾力を失ったもの大きく変形してしまったものはトーンホールを十分にふさぐことができません。

  • 低音が出にくい。
  • 音がひっくり返る。
  • レガートがかかりにくい。

など、様々な症状があらわれます。
このようになってしまったタンポはできるだけ早く交換しましょう。

 


サックスの調整の様子です。
黄色い光が見えているところはトーンホールが完全にふさがっておらず、息が漏れてしまいます。

タンポはどれも天然素材なので、新しいうちは弾力がありトーンホールにフィットしやすいですが、弾力のなくなったタンポはトーンホールを完全にふさぐことができません。

見た目がきれいでも、長年使われたタンポは交換が必要です。

 

タンポ交換・バランス調整の目安

タンポは穴を均等にふさぐために、ひとつひとつ細かく調整されています。
しかし、天然素材を使用しているため、気温や湿度の変化で膨張・収縮を繰り返し、日に日に調整が崩れて吹きづらくなってきます。

楽器についているそれぞれのタンポがきちんとトーンホールをふさいでいるか、連動する箇所が正しく動いているか…などを確認し、整えなおす作業のことを「バランス調整」と呼んでいます。

タンポ交換・バランス調整の目安は、使用状況や頻度、楽器の保管方法などによって異なるため一概には言えませんが、セントラル楽器では3か月から6か月に一度「バランス調整」を行うことをオススメしています。

また、“もともとは白かったタンポが茶色く変色した”ということで交換を希望されるお客様もいらっしゃいますが、タンポの変色は劣化による場合の他に、楽器本体の木材に使われる塗料の色が移ってしまう場合があります。後者の場合、タンポに破れなどがない場合は交換の必要はありません。

タンポ交換の判断は非常に難しい場合がありますので、ご不安な場合はセントラル楽器へお気軽にご相談ください。

  • いつも通り吹いていても何か違和感がある
  • 特定の音が出しにくい

などの場合は、調整が崩れてきている可能性があります。

 

タンポを長持ちさせるには

不良タンポがたくさんあると、修理の際に時間も金額もその分かかってしまいます。
扱い方を気にするだけで長持ちさせることができますので、大事に長く使いましょう!

 

ポイントは3つ!

①水分をこまめにとりましょう!
管楽器を吹いていれば水分がたまるのは当たり前ですが、この水分がタンポの大敵です。こまめにスワブを通し、タンポについてしまった水分はクリーニングペーパーで吸い取ってください。

 

②楽器を拭く時は要注意!
練習終わりなど、楽器をクロスで拭く際にタンポの側面をこすってしまうケースがよくあります。
多少の擦れは問題ありませんが、何度も繰り返すと側面の皮が破れてしまいますので、注意してください

 

③キイを強く握らないで!
タンポが付いているキイ、特にクラリネットのトリルキイなど長いキイは握らないように気をつけましょう。楽器を組み立てる際など強く握ってしまうと、タンポがトーンホールに擦れて皮が破れてしまいます。

 

・・・いかがでしょう?

扱い方を気にするだけで後々の修理代がお得になるなんて、ちょっと嬉しいですよね。

難しい事ではないのでぜひお試しください。

 

以上、タンポについてのご説明でした。

 

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