お手入れ★マスター番外編【オイルとグリス】
2021.02.27フルートクラリネットオーボエファゴットサックストランペットトロンボーンホルンユーフォニアムテューバリペア
こんにちは!セントラル楽器修理部の明樂(あきら)です。
今回は意外と知られていない(?)オイルとグリスについてのお話です。
実はたくさん種類のあるオイルとグリス…。正直何をどう使っていいかわからなかったりしませんか?
楽器とは切っても切れない縁にあるオイルとグリス。
使用方法をばっちり抑えてお手入れマスターにさらに近づきましょう!
ということで…。
あなたも!?お手入れ★マスター【オイルとグリス編】
をお届けします!
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目次
ー キイオイル
ー コルクグリス
ー バルブオイル
ー スライドグリス
ー トリガー用オイル
ー スライドオイル
ー ロータリーオイル
ー レバーオイル
ー スピンドルオイル
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木管楽器で使用するオイルとグリス
キイオイル
木管楽器のキイとキイのすき間に注すオイルです。
キイを押したときにカチカチと音がする場合に使用します。
使用方法はキイとキイのすき間に1滴だけ注し、オイルを注し終えたらキイを数回パタパタと動かすだけ。
キイオイルは注しすぎに注意しましょう。また、余分なオイルや管体についたオイルは必ず拭き取ってください。
キイオイルを使用しても状態が変わらない場合は早急に修理に持ち込んでくださいね。
それでは粘度別にキイオイルについてご紹介します。
粘度:低め
サラサラ |
ピッコロ、フルート、オーボエに使用します。 ヤマハのライト、ヘットマンのライトなど。 ※ムラマツのフルートは専用のオイルが販売されていますのでそちらを使用してください。 |
粘度:中間
ふつう |
バスクラリネットより小さいクラリネット族に使用します。 ヤマハのミディアム、ヘットマンのミディアムなど。 |
粘度:高め
ネバネバ |
バスクラリネット、サクソフォン族、ファゴットに使用します。 ヤマハのヘビー、ヘットマンのヘビーなど。 |
コルクグリス
楽器の組み立てやチューニングをスムーズに行うためのグリスです。
ジョイントコルクに塗って使用します。
適量をコルク部につけ、指でしっかりと馴染ませましょう。
使用後は必ず全て拭き取り、管体やコルク部についたままにしないように注意してください。
グリスが残っていると、管体の劣化やジョイントコルクのはがれの原因になります。
コルクグリスを使用してもきつい場合や、そもそもジョイントがゆるい場合は早急に修理に持ち込んでください。
基本的には楽器と同じメーカーのグリスの使用がおすすめです。
金管楽器で使用するオイル
バルブオイル/ピストンオイル
ピストンに注すオイルです。
ピストンのケーシングと触れる太い部分に2~3滴注し、ピストンを何度か押して馴染ませます。
基本的には各メーカーの純正のオイルの使用をおすすめします。
メーカーによって粘度の違いで数種類のバルブオイルを出している場合もあります。
種類の違うオイルが混ざると動きが悪くなる場合があるので、以前使っていたものと違うオイルを使用する場合は、必ずピストン、ケーシング共に前のオイルを拭き取ってから新しいオイルを注してください。
また、はみ出たオイルは必ず拭き取りましょう。変色や塗装不良につながります。
バルブオイルを使用してもピストンの動きが悪い場合は早急に修理に持ち込んでくださいね。
それでは粘度別にバルブオイルについてご紹介します。
粘度:大変低い
とてもサラサラ |
アドリブ等の特別速いパッセージを演奏する場合や、ピッコロトランペット等高音での演奏が求められる特殊管にもおすすめです。 ヤマハのスーパーライト、ラ・トロンバのFASTなど。 |
粘度:低い
サラサラ |
早い動きを必要とするジャズ奏者や、ヤマハカスタムモデルのトランペット等ピストンのクリアランスの小さい楽器におすすめです。 ヤマハのライト、バックのリンズオイル、ヘットマンのライト#1、ラ・トロンバのT3、アルキャスのFastなど。 |
粘度:中間
ふつう |
輸入楽器やスチューデントモデル等のトランペット、ピストンのクリアランスが中庸の楽器におすすめです。 ヤマハのレギュラー、バックのバルブオイル、ヘットマンのピストン#2、ラ・トロンバのT2など。 |
粘度:高い
ネバネバ |
ユーフォニアムやチューバ等のピストンの接地面の多い低音楽器や、長期間使用しピストンのクリアランスが大きくなった楽器におすすめです。 ヤマハのヴィンテージ、ホルトンのバルブオイル、ヘットマンのクラシック#3、ラ・トロンバのT1など。 |
スライドグリス
トリガー(指掛け)のついていない抜差管に使用します。
抜差管全体に薄くグリスを塗り、何度か動かして馴染ませます。
はみ出たグリスは必ず拭き取りましょう。変色や塗装不良につながります。
また、グリスは気温等で粘度が変化するため、夏は固め、冬は柔らかめのグリスを使用することで最適な状態を保てます。
もともと抜差管がきつく抜きにくい場合は柔らかめのグリスを、ゆるく抜けやすい場合は固めのグリスを使用しましょう。
種類の違うグリスが混ざると動きが悪くなる場合があるので、以前使っていたものと違うグリスを使用する場合は、必ず抜差管、受口側共に前のグリスを拭き取ってから新しいグリスを塗ってください。
基本的には楽器と同じメーカーのグリスの使用がおすすめです。
トリガー用オイル
トリガー(指掛け)のついている抜差管に使用します。
抜差管に1~2滴注し、何度か動かして馴染ませます。
はみ出たオイルは必ず拭き取りましょう。変色や塗装不良につながります。
トリガー用のオイルはあまり種類が無く、バルブオイルを活用したりする場合もあります。
使い始めは各メーカーの推奨しているオイルの使用をおすすめしますが、ヤマハからトリガー専用のオイルとして「チューニングスライドオイル」が発売されているので、「トリガーにどのオイルをどう使えばいいかわからない!」という方にはおすすめです。
スライドオイル
トロンボーンのスライドに使用します。
スライドの先端のストッキング(太い部分)に1周スライドオイルを塗り、ウォータースプレーで水分を吹きつけます。
最後に何度かスライドを動かしてオイルを馴染ませます。
基本的には楽器と同じメーカーのオイルの使用がおすすめです。
ロータリーオイル
ロータリーバルブが付いている楽器に使用します。
抜差管を抜いてロータリーバルブに2~3滴注し、レバーを何度か押して馴染ませます。
ロータリーオイルにグリスや汚れが混ざらないように注意しましょう。
ノズルがついていると注しやすいので活用してみてください。
ヤマハのロータリーオイル、ヘットマンのローターオイル#12がおすすめです。
レバーオイル
ロータリーのレバーとボールジョイントに使います。
レバーとバネのすき間に1滴と、ボールジョイントのまわる部分に1滴注し、レバーを何度か押して馴染ませます。
はみ出たオイルは必ず拭き取りましょう。変色や塗装不良につながります。
ヤマハのレバーオイル、ヘットマンのボールジョイント#15がおすすめです。
スピンドルオイル
ロータリーの軸に使用します。
キャップの中にあるローター軸と反対側の軸受部の間に1滴注し、レバーを何度か押して馴染ませます。
はみ出たオイルは必ず拭き取りましょう。変色や塗装不良につながります。
ヤマハのロータースピンドルオイル、ヘットマンのベアリングリンケージ#14がおすすめです。
いかがでしたか?
たかがオイル・グリス、されどオイル・グリス。
種類は無限大にあり、1種類ずつ奏でる音色も変わってきます。
是非色々なオイル・グリスを試してみて、マイベストセッティングを見つけてみてくださいね♩
これであなたもお手入れ★マスター!