バスクラ吹いてみた!
こんにちは!セントラル楽器の松田です。
今回の記事はこちら。
バスクラリネット(LowC)、3社吹き比べてみました!
※2020.08.22 更新
バスクラリネット(略してバスクラ)はグラナディラという貴重な木材をたくさん使用して製造しているため、一般的なB♭クラリネットよりもかなり高価な楽器です。そのため個人で購入するには手が伸びにくい楽器ではありますが、学生時代からバスクラを吹いていた人ならばいつかはMy楽器が欲しいもの…(私もそんな一人です。)
バスクラは最低音がE♭(実音D♭)までの機種と、最低音がC(実音B♭)まで出せる機種があります。最低音がDまでのちょっと特殊な機種などもありますが、LowE♭管とLowC管の2種類が一般的です。それぞれ“ショート管”、“ロング管”と呼ばれることもあります。成り立ちなどは所説あるので今回は割愛させていただきます。
個人購入をされる際に人気があるのは、圧倒的にLowC管です。様々な楽曲に対応可能な音域の広さが魅力ですね。あの長いフォルムに憧れる方も多いのではないでしょうか。
でも、実際買うならどこのメーカーがよいのか…
たくさんの楽器を吹き比べる機会ってなかなかないですよね。
というわけで、国内で特に人気の3社、YAMAHA(ヤマハ)・H.SELMER(セルマー)・Buffet Carmpon(クランポン)のそれぞれLowCモデルを吹き比べてみました!!
楽器を吹いた感想には個人差があり、マウスピースなどのセッティングや試奏した環境などによっても様々ですので、あくまでも購入の参考程度にご覧いただければ幸いです。
今回試奏に使ったセッティングはこちら。なるべく一般的な組み合わせにしたつもりです。
マウスピース:バンドレン B40
リガチャー:クランポン SP
リード:バンドレン トラディショナル(青箱)3番
◆YAMAHA『YCL-622』
私は今まで、ヤマハはLowEbモデルしか吹いたことがありませんでしたが、管が伸びるだけでこんなにも響きが変わるのかとびっくりしました。
原材料の関係で楽器が年々値上がっていく中、グラナディラ製のLowCモデルが100万以内で手にできるのはYAMAHAの魅力ですね。
周りになじみやすい音色が特徴ですが、奏者やセッティング次第で個性も出せるのではないでしょうか。全体的にキィタッチは軽く感じました。最低音域で使用する右手親指のキィは3つすべてにローラーが付いているので操作性抜群です!
◆H.SELMER『Privilege』
セルマーはネックの角度が特徴的で、口と手元がとっても近い…!(いい意味で)
小柄な方でも吹きやすい設計になっています。普段Bbクラリネットを吹いている人にバスクラを吹いてもらうと「顔がムズムズする…」と言われるあの感覚が少しわかった気がしました。笑
旧モデルのセルマーと同様、ストレスなく息が入り、太くゴリゴリ音が鳴る印象。
カーブのきつめなネックによりBbクラリネットと近い角度で演奏できるため持ち替えが容易に感じました。
指掛けと一部のキィが可動式になっているので、自分の手に合わせて簡単に調整できるのも魅力的です。(画像1枚目)また、上下管の連結部にネジが付いていて下管の不慮の落下を防ぐこともできます。(画像2枚目)
◆Buffet Carmpon『Prestige』
プロ・アマチュア問わずバスクラの定番機種として圧倒的な支持を得ている楽器で、個人購入では当店人気No.1!私自身も古いLowEbモデルでしたが高校の頃はこのモデルを吹いていました。
キィの配置やエンドピンを差す部分の角度など私が使用していたものとは少し異なる部分もあったので、日々改良を繰り返し、進化しているんですね。
今回の3本の中では一番お高い機種ですが、やはりいい楽器です。
このさらに上位機種であるToscaも気になってしまうところですね・・・
低音から高音域まで豊かで厚い音色で音ムラが少なく、高音の音程も安定しており、暖かい音が出ます。キィの各所に操作音を軽減するための緩衝材が取り付けられたり、トリルキィの形も押しやすいように工夫も施されています。
その他の比較は下記表をご参照ください!
ヤマハ
YCL-622 |
セルマー
Privilege |
クランポン
Prestige |
|
税込定価 | ¥1,045,000- | ¥1,595,000- | ¥1,826,000- |
ケース |
|
||
ネック | |||
ベル | |||
パッド | 白/皮 | 茶/皮 | 白/皮 |
指掛け | 固定式 | 可動式 | 固定式 |
最低運指
キィ |
C/C#/Bb | Db/C#/Bb | C/C#/Bb |
実音(上段のキィで実際に出る音) | C/H/Bb | Db/H/Bb | C/H/Bb |
各社甲乙つけがたいとっても魅力的な楽器です!見た目だけでも各メーカーの個性が溢れ出るこの楽器。
眺めてるだけでもついニヤニヤしてしまいました。(笑)
奏者によって各メーカーの好き好みが分かれやすい楽器かと思います。
「昔使っていたからこのメーカーがいい!」という方もいらっしゃるかと思いますが、旧モデルと現行モデルでかなり印象が異なる場合がありますので、ご購入の際はできるだけ楽器屋さんで吹き比べてみてくださいね!
簡単なレビューではありますが、ご購入の参考になればと思います。
ちなみに、グラナディラ製ではありませんがお求めやすいLowCモデルもございます。
合わせてご覧くださいませ。