FOX バスーン Renard Artist Model のご案内
セントラル楽器のブログをご覧の皆様。
最近は不安定なお天気が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。このまま梅雨に入るかと思うと少し憂鬱ですね…
さて、本日セントラルBEEスタッフ野村がご案内するのは、
FOX Bassoonn Renard Artist Model レナード アーティスト モデル
・005Sスタンダード
・005Lスタンダード
・006Lスペシャル
でございます。
今回は珍しく3種類が揃いましたので比較が出来ればと思いブログにさせていただきました。
005Lスタンダードと006Lスペシャルの違い。
005と006という別モデルながら、「スタンダード仕様」と「スペシャル仕様」という違いで同じ価格設定になっている両モデル。どちらもスタンダード仕様であればブラックメープル製の005Lの方が上位機種という位置づけになりますが、こちらの006Lはスペシャル仕様という事でレッドメープル製でキーの数、ローラーの数が多い設定となっております。
以下は006に装備されているキーのご紹介です。
左手Ebトリルキーが付属(画像右側が006Lスペシャル)
別に親指のトリルでもイケるのでは?と思った貴方。
このトリルキーのおかげで親指の自由度が上がるので色々便利ですよ?
また、小柄な方や手の小さい方にとって親指をガンガン動かすトリルは、かなり大変と思いますのであると助かる装備です。
LowC補助キー、ローラーが付属(画像右側が006Lスペシャル)
※注 こちらの装備は006Lスタンダードでも付属します。
Dキーの真横にCキーが操作可能なプレート、C-Dキーにローラーが付属しております。これらがあるとLowC,H,Bb当たりの左手親指のコントロールはかなりやり易くなります。手の小さい方には本当におすすめの装備です!!正直、手のサイズの大きい方はあんまり気にならないよって部分かもしれませんが…稀にLowC-Bbあたりの音域で連符を吹かせる曲(FG譜がおまけ扱いの吹奏楽譜にありがち…笑)の時は恩恵を感じずにはいられないと思います。
右手小指F#ローラーが付属(画像右側が006Lスペシャル)
※注 こちらの装備は006Lスタンダードでも付属します。
右手小指のF#…これ手が小さい人だとおさえるだけで指吊りそうでしんどいのに、更に素早く正確に移動させないといけない…みたいな鬼みたいな瞬間があります。しかし、こちらのローラーのおかげでスムーズにフィンガリングできます。
右手親指Ab-Bbトリルキーが付属(画像、右側が006Lスペシャル)
皆様…嫌ですよねAb-Bbのトリル…?替え指の音の安定感の無さ…すごいですよね?
このトリルキーあるとかなり良い音程を狙って吹けます。ありがたいです…
なるほど!!
それならキーの充実した006Lスペシャルを選んでおけば間違いないですね!!!!
と…ならないのがファゴットの奥深さです。
例えば、キーに装備されているローラーですが、本来は指をスライドしやすくするための機構ですので、指が大きかったりする方にとっては、ローラーの面積分押せる範囲が減ったり、逆に滑ってしまって指が慌ただしくなってしまう等のデメリットとして作用してしまう可能性があります。
トリルキーも使用頻度によっては正直なくてもいいかなあ…という事もあるかと思います。
楽器のキーの形態の理想はお客様の演奏環境、求めるレベルによって変わります。
その為、自分はトリルキー少なくてもブラックメイプル製の005の方が好き…
という方もいらっしゃいますので、装備が少ないから悪いとは一概には言えない話になってしまいます。
ここまで言っておいて結論はお客様に投げるのか…となってしまいますがご安心ください。
ご相談いただければスタッフが全力でお答えいたします!
ロングボア、ショートボアの違い(005で比較)
フォックス社製の楽器はS(ショートボア)、L(ロングボア)と二種類に分かれていますが、そもそも両者はどのように違うのか?という方も多いかと思います。お恥ずかしながら私も今までしっかりと自分の言葉に落とし込めていなかった部分がございます。今回の試奏で感触はつかめましたのでご紹介させてください。
まず、各々の基本的な違いの説明ですが、輸入代理を行っているフォックス ウインズ様のホームページに掲載されている文章が非常に分かりやすい内容でしたので引用でご紹介させていただきます。
(引用を快く許可してくださったフォックス ウィンズ様、誠にありがとうございました。)
~以下、フォックス ウインズ様のホームページにより引用~
ロングボアタイプ
FOX独特のロングボアは深みと温かみのある柔らかな音色を持ち、バランスの取れた音質と3オクターブ半にも及ぶ広音域の音程を正確に演奏することが可能です。 正確な音程と柔らかな音を必要としているオーケストラ奏者、レコーディングソリスト、室内楽奏者、スタジオプレーヤー等オールラウンドな奏者に支持されています。 ショートボアに比べて少し楽器が長く、より緩やかな内径円錐のため自然倍音列が優れています。この自然倍音の澄んだ響きによりホールの隅々までよく響き、一層柔らかな演奏が可能になっています。 ピッチはアメリカモデルより少し高めに設定しました。441HZ~442HZで安定していますので、木管部のハーモニーを支えられ弦楽器低音部との演奏も違和感なく演奏ができるでしょう。
ショートボアタイプ
FOXのショートボアは演奏会場において生き生きとした力強い響きでロングフレーズの演奏が楽しめます。 よりオープンに音を響かせられるようフィンガーホールのデザインやインサートチューブの内径、材質、トーンホールの位置、方向、大きさ等を独自に研究改良しました。太管で肉厚な作りになっています。 特にソリストやオーケストラプレーヤーに好まれて使用されています。 ピッチはアメリカモデルより少し高めに設定しました。 オーケストラでの演奏もフレキシブルな演奏が可能に。またソリスト用としても音楽家の感情移入の容易な楽器として演奏時において多大な能力を発揮できる楽器といえましょう。
~以上引用でした。~
文章で見る限りは、合奏寄りのセッティングのLタイプ、ややソリスティックなのがSタイプという印象ですが…実際吹き比べるとどうでしょうか?
005L(ロングボアタイプ:スタンダード)
フォックスウィンズさんの解説にあるように、周りと溶けこみそうな音を持つ楽器だと感じました。柔らかい、優しいなどと形容する方が多い音色かと思います。そして、これはフォックスのモデル全般に言えることですがやはり音程が良いですね…非常に安定しています。
こちらのロングボアモデルは、ショートボアモデルの息の流れやフィンガリングに即座に反応する軽快な特性に対して、吹き込んでくと「もう一押し」できる余地がある印象です。このように感じるのは、楽器の管体の長さの違いや緩やかな内径円錐よるものなのかな…?などと推測しております。
周りとの調和を重んじ、木管低音ダブルリードセクションとして暖かい音と響きを目指す
一音入魂タイプの方に向いているのではないかと思います。
005S(ショートボアタイプ:スタンダード)
レスポンスがかなり良く一番最初に吹いた時驚きました。奏者の息の流れ、指の動きに対する反応がすごく良いです。あまりの反応の良さにあれれ、自分ってこんなに楽器上手に吹けたっけ…?と勘違いしてしまう程です。
音域による音ムラも少なく、高音域~低音域の移動が本当に楽です。このモデルだとソロ曲を吹くのが楽しくなりそうです。
これは私の個人的な感想ですが、バス―ンらしい暖かい響きの中でもキリッとしたサウンドですので、ロングボアモデル時に感じた「もう一押し」が出来る余地…みたいなのは少なく感じます。
自分はそんなに速い曲ガンガン吹いたりしないよ…とお考えの方はロングボアの方が好みの可能性があります。
颯爽と連符を駆け抜け、音楽を楽しみたいという方に向いているのかと思います。
蛇足ですが、スピード感のある演奏に苦手意識のある執筆者は、ショートボアタイプのレスポンスの良さが非常に魅力的に感じました(*´ω`*)
念のためですが…
この感覚はあくまで同機種内でロング、ショートを比較したときの感想です。各々単体に物足りなさが有るのかと言われるとそんなことは全くございません!
どちらも本当に良い楽器です。吹いてみて気に入った方を選んでください。
ピアニッシモキーロック 左or右(005で比較)
基本的にピアニシモキーロックは左手仕様を多く見かけますが、今回ちょっと日本では珍しい右手ロック仕様のモデルを体験できました。
画像をご覧いただけるとわかりますが、左手親指でロックをかけるレバーが無くすっきりしているのが特徴です。
左手ロック仕様 | 右手ロック仕様 |
これの何が良いかというと、左手親指付近のパーツが少なく済むので親指の自由度が上がります。
今まで考えた事なかったけど、ロックキー触らないように無意識に気を使いながら指の操作をしていたんだな…ということに気づきました。
ファゴットの左手親指は全管楽器内でも一番忙しい指(爆)…と言っても過言ではないので、ここら辺のストレスが減るのは本当にありがたいなと個人的には感じました。
ちなみに右手側このようになっています。
緑色のフェルトが付いているレバーを右手親指で上下させてロックを操作します。
慣れないうちは不思議な感覚ですが慣れてくるとスムーズに操作できます。
まとめ
フォックス社の楽器はやはり
「音程の良さ」「音域による音ムラの少なさ」
の二点が優れています。
バス―ンは構造上どうしてもピッチが安定せず、音域によってムラが出てしまいますが、
そういった点も元々の楽器の特性だからしょうがない…といって妥協せず設計、製作されています。
毎日練習するプロや音楽系の学生であれば、楽器の歴史や構造を紐解き、音程の癖などに対応することが一人前とされるかもしれませんが、全てのバス―ン奏者にとって必修かと言われればそんな事はありません。
・息の流れ、リードの癖、音程感等がまだつかめていない初心者の方。
・音楽を愛していても毎日練習が厳しいアマチュアの方。
等々、様々な境遇の方がそれぞれのペースで音楽を楽しんでいただくには、安定感があり奏者をサポートしてくれるフォックス社の楽器は大変おすすめです。
また、プロ志望の方であっても、音程という部分の負担が少ない楽器で、音色・表現・技術など広い部分に気を配る事により得た経験や知識は、今後の財産になるのではないでしょうか。
そして、今回ご紹介の3モデルですが…
現在(2021/5/9)当店に在庫有りです!
ご興味のある方は是非お問い合わせください。
このブログを書いたスタッフ。
セントラルBEEスタッフ:野村
音大付属高校をチューバ専攻で卒業。一浪の末、ファゴットに転科して別の音大を卒業。
セントラルBEEにてチューバ・ファゴットをメインに担当。